実証の見通しは以下のとおり
熱放射技術の習得
エアコン(対流熱伝達)技術の習得
エアコンで天井に熱輸送して生じた温度差による熱放射効果
天井からの熱放射温度と室温の上下関係が感覚温度に与える影響の考察
一般的に放射冷房は室温26℃>壁温23℃ 放射暖房は室温18℃<壁温25℃と設定され
るが 数式的に感覚温度が同じになる 放射冷房の室温23℃<壁温26℃ 放射暖房の室温25℃>壁温18℃とするとどう感じるか?
冷暖Podの元始モデルの性能を観察
現ログハウスの断熱性能と熱容量を測定
現ログハウスを高断熱化
蓄熱タンクに必要な熱容量確認
対流熱伝達(エアコン)制御 トリガがかかって効果発現までの時間とΔTポテンシャル
放熱量変化による制御と逆熱量による抑制制御
熱放射(壁温)制御 トリガがかかって効果発現までの時間とΔTポテンシャル
放熱量変化による制御と逆熱量による抑制制御
冷暖Podのプロトタイプ作成 対流熱伝達と熱放射性能の評価
体感温度を制御するアルゴリズム 外気温 室温 壁温 居住者からの要求
熱源から複数のpodに必要な熱を配達するしくみの検討
2025.9.5 放射パネル試作品で冷放射を実感する
広い面積からの暖放射を実感したくて高温で動作する電気カーペットやヨーロッパ製の暖房パネルを分解して抵抗体を低電圧で動作させてみると5Wくらいでも広い面積からの放射だと1mの距離でモワッと感じるもんだなとの実感は得ていた しかし広い面積からの冷放射についてはうまい方法がなく氷まくらではさすがに面積が小さすぎて実感がわかなかった
放射パネルが一枚欲しかったが・・放射パネルのメーカーさんは皆エンジニアリング型の企業なのでおいそれとは素人に分けてくれそうにはない そこでH995T500T2mmのアルミ板に1mの角パイプ10本を密着固定して表をつや消し塗装 裏を断熱して急ごしらえで自作してみた
奥にある黒いパネルがそれ
そのパネルにクーラーボックスにつくった氷水を揚水ポンプで流し込んでみた まずは放射パネルが氷水の温度をパネル表面までうまく熱伝導してくれるか心配だったが 氷水の温度が遅滞なくパネル表面温度に反映されているようだ また放射温度計で端から端まで温度を測ったが大きな温度ムラもなさそう
そこでパネル前面0.5mの距離に被験者席その左1.5mくらいに対照者席をしつらえて交互に座ってみた結果 確かに被験者席ではぼんやりとではあるが冷え感を感じる 放射温度計で定点観察してみると被験者席の背もたれは対象者席より0.4℃低かった ちなみに実験前は両方の背もたれの温度は等しかったので確かに冷放射されているという確信をもてた
ひとつ気づきがあったので記録しておく
クーラーボックスにはもともと5kgくらいの水があってそこに500mlペットボトルを凍らしたものを6本投入してそれが溶解するときの吸熱(46Wh/本)で冷水をつくったのだが 水の冷却に88Wh程度パネルの放射が50Wh/h程度と見込まれるので3~4時間は持つと思ったが2時間程度で溶けきってしまった 結露が冷熱を奪ったかと疑ったが量がしれているので数Wh/hの影響だろう ふと足下がすずしいので計ってみると本来室温と同じ24℃のはずの床がパネルの足許では20℃まで下がっていた これは放射によるものでなく自然対流による熱伝達であり概算で30Wh/hとするとだいたい計算が合う パネル放射するときにはかならず対流でも熱を持っていかれる というあたりまえの気づき
放射パネルの暖房効果はもっとはっきり知覚できそうなので試してみたいがログハウスにあるスポットクーラーでは熱貫流の激しい(はずの)ログハウスの室温を18℃までは下げられないので 気温が18℃を割る季節になったら是非体感してみたい
・・というわけで本件はここまで
2025.9.5 対流熱伝達率のワイドレンジを推定する
冷暖Podのエアコン機能にどれくらいのワイドレンジを期待できるのか知りたい というのは冷暖Podのエアコン機能は強弱調節が必要で あるいは熱源が弱っていって室温にちかづいたときにそれでも力一杯空調したいときがある いずれにしても刻々と減少してゆく熱源の残熱量(つまり熱源の温度は制御できない)で空調の調節を行うには吹き出す空気の流速によるのが基本になる
熱源から吹き出す空気への熱伝達率は一般的に次の式であらわされるらしい
伝達率=自然対流の熱伝達率×√(風速/L)
ここでLは代表長さで その意味は今起こっている現象を性格づける数値ということでそれが何かは時と場合による だからこの実験では冷暖Potの空調機能の構造のなかで何が代表長さなのかをおおざっぱに推定することがテーマになる
実験は14:30頃から 床温25℃くらいの環境に3つの凍らせた500mlペットボトルを30cm置きに横に並べて垂直方向に流れる空気の流速を設定したときに 各々の氷が溶けきってしまう時間を調べる そうすると溶けきるに要した時間の逆数が対流熱伝達率の比となるはずだ
いちばん左が自然対流 まんなかが対流阻止 右がサーキュレーターで3.5m/sの強制対流
結果は以下のとおり
14:30 解凍開始
15:29 右のペットが完全解凍
18:40 左のペットが完全解凍
その段階でまんなかのペットは解凍量50%程度だった
つまり強制対流3.5m/sの完全解凍が1時間 自然対流が4時間 そして対流阻止はたぶん8時間位と推定される それらを上の式に当てはめてL=0.2mを得た
事前に代表長さはペットの直径0.065mか高さ0.2mのどちらかだと想像していたがピッタリ0.2mが合致したことで 代表長さLは冷暖Podの風洞の高さ と一応決め込む これで冷暖Podのエアコン能力のワイドレンジを風洞高さと流速の関数として推定することができる なお対流阻止の8時間は開口部からの溢れ対流以外に外殻ペットの熱伝導率なども効いてきていると思われるので有効な推定ができないが冷暖Podのエアコンファンを停止して風洞の対流を阻止すると自然対流の半分くらいの熱伝達に抑えられる・・程度の知見としておく
2025.10.3 冷暖Podのエアコン機能で天井を冷却・加熱できるか実験してみる
放射冷暖房のために天井に放射パネルを設置するのはいろいろと大変なので 冷暖Podから天井にサーキュレーターで冷却・加熱の温度を運べればよい と考えて実現可否を知る実験をしてみた
まずは天井まで温度を運ぶサーキュレーターを 放射パネル試作品に沿って空気を運ぶ風洞と 風洞の空気を天井まで運ぶサーキュレーター で構成した
スタイロフォームでつくった風洞のなかに放射パネル試作品を組み込んでいて吸気された空気が放射面に沿って移動するときに冷却されいったんサーキュレーターの手前でプールされその後上向きに1m/sくらいの気流が送られる 本来3m/s位の風が欲しかったが風洞の空気抵抗は結構おおきい しかたなし
天井には先日断熱フォーム30mm厚を貼り付けている
天井に0.5m間隔のマス目を設定してその温度変化を定点観察した 対照点は10cm位の高さの桟を越えたところの温度とした 天井にあたった気流は天井に沿って流れるが桟の手前で下降するはずだから
結果は送付開始後数分で
室温より5℃くらい低い射出気流だと天井はΔ-1℃の変化
室温より3℃くらい高い射出気流だと天井はΔ0.5℃の変化
と感じた 表現があいまいなのは 天井の温度が時々刻々と変化していて温度測定にもうひとつ自身がもてないことと 桟を越えたところの比較点にも気流が回り込んでいる気配があるから これ以上やっていても精度はあがりそうにないので 冷暖Podからの気流で(熱容量の小さな)天井の表面温度は制御できそう でも冷暖Podから天井までの間でけっこう熱量が持って行かれそう という気づきにとどめる ログハウスをUA値0.3W/(m2・K)化したあと気流の動きも併せ詳しく観察する
2025.10.22 現状のログハウスのUA値を試算する
冷暖Podのプロトタイプが完成したらその性能評価はUA値0.3W/(m2・K)化したログハウスでおこないたい 理由は冷暖Podプロトタイプの評価は今回ターゲットとしている外皮熱貫流性能UA値0.3W/(m2・K)の部屋でおこなう必要があるから
プロトタイプの蓄熱槽部は室温を24H制御するために必要な「熱容量」があるのか? プロトタイプの熱交換部は室温を十分速く制御できる「熱伝達スピード」を持つのか? プロトタイプからの気流で天井の表面温度が制御できるか?
現在の熱貫流の激しい(はずの)ログハウスではまともな評価はできない・・
それに先だち現在の熱貫流の激しい(はずの)ログハウスのUA値を簡単な熱貫流実験をおこなって試算してみると1.4W/(m2・K)で・・思っていたより優秀だった(主題じゃないので実験内容は省きます) 真冬の実験日にはたいてい夜半に家を出発してログハウスに夜中に到着するが 室温=気温でキンキンに冷えているのでもっと大量の熱が貫流しているものと思っていた
1.4W/(m2・K)から0.3W/(m2・K)に持って行くためには おおまかに言うとログハウスの外皮面積72m2の内側に40mm厚の断熱フォームを110枚くらい隙間無く貼り付けてゆく作業で結構大変 もちろん窓8m2は完全に塞いでしまう形で貼る 足許がぶかぶかするのはいやなので床には外から貼り付ける 窓が塞がってしまうのは気持ちが悪いので実験中以外は窓部だけは断熱フォームを取り外せるようにしておく この作業は思い切って年末までに済ませてしまう
もう一つ予想外だったのがログハウスの熱容量が結構大きかったこと 熱貫流実験をしたあと熱源である1kWのDelonghiを切ってもなかなか内壁温が下がらなかった 改めてパイン材44mm厚×72 m2の熱容量率を計算してみると3500KJ/K位あるのでさもありなん とすこしずつ実態を計算で理解できるようになって来たのは嬉しかった
内壁がすべて断熱フォームになるので一般に売られている青いスタイロフォームは避けてカネライトの同仕様のものを採用した 探し回ってナフコで初回注文24枚を購入してベランダに置いているが その存在感に圧倒されている
3年前にDIYで建てたログハウスにはけっこういろいろな家財が運び込まれていてカネライトを壁に貼り付けるにはそれら家財をいったんどこかに待避する必要があり それが面倒で・・逡巡している
2025.10.23 コンパクトな冷暖Podで高断熱住宅の冷暖房が可能なのか
100kg程度の蓄熱タンクでエアコンと放射冷暖房をおこなえれば「居室のインテリアになじむコンパクトな冷暖Pod」と言えると思っている その可能性を見通すために容積1m3表面積1m2の水タンクに100kgの水を入れて室温20℃のログハウス(UA値1.4W/(m2・K)の中心に置き50℃まで加熱したときに得られる「熱容量」とその後水タンクが刻々と温度低下してゆくなかでの「熱伝達スピード」で18℃の室温が6時間維持できるか実験した それがうまくゆけばUA値0.3W/(m2・K)の居室なら6時間の4倍の24時間18℃の室温の維持が見込めるだろう と考えた
15時から870Wの電気ヒーターで加熱しはじめ約6時間で14→51℃まで加熱したところでヒーターをOFFして放熱の様子を観察した
加熱のさいに対流伝達の大きさを推計したところ30Wに満たないと思われたので自然対流では室温維持できず実験にならないとおもったので急遽サーキュレーターを側面に吹き付けて対流の熱伝達率を上げた
また水タンクのなかは温度層にならないようポンプで攪拌した
なお外気温は放熱時にはほぼ10℃一定であった
結果 加熱時は 電気ヒーターからの熱量はトータル5.16kWhそれに対して水タンクが得た熱量は15,540kJ=4.32kWhで0.84kWhが放熱されていた
次に21時から1.5時間の放熱の様子は 中間値44℃の水タンクが失った熱量が0.544kWh/hそこから熱放射を0.117kWh/hと推測して引き算すると0.427kWh/hが対流伝達と推測する
23時から2時間の放熱は 中間値36℃の水タンクが失った熱量が0.467kWh/hそこから熱放射0.103kWh/hを引き算すると0.303kWh/hが対流伝達となる
壁の熱容量を蓄えたあと21時から翌4時までの8時間 室温18℃を維持していたので壁温16℃→外気温10℃への熱貫流0.605kWh/hをログ材の熱容量と水タンクの対流伝達および熱放射で賄えていたと思われる するとログハウスがUA値0.3W/(m2・K)の高断熱になれば熱貫流は0.129kWh/hとなるので 100kgの水タンクで外気温10℃ならば18℃の室温を38時間維持できるし 外気温が5℃であっても24時間維持できる計算になる 実際には昼間の外気温は最低外気温より若干でも高いので維持時間の余裕となるが 極寒期は途中に再加熱が必要になるかもしれない
見通しは立ったので・・うだうだ言ってないでログハウスの高断熱化を進めることにする
2026.1.30 ログハウスの断熱を完了
天井と側壁に内側に80mm厚のカネライト 床には外側に80mm厚のカネライトをできる限り貼り付け 隙間の目止めをおこなった また窓の二重ガラスにはポリカの透明中空ボード4mmを追加したがそれだけでは熱がダダ漏れなので実験時だけは断熱できるように取り外し可能なカネライト40mmをはめ込んだ 構造体の熱容量の影響が小さくなる真夜中にログハウスが熱平衡になったタイミングで測定したUA値は0.5 W/(m2・K)程度の模様
一旦はこのレベルで冷暖Podの基礎実験をおこなう
2026.2.9 エアコンで天井・側壁・床の放射温度を制御する
床中央に設置した冷暖Podから周囲の構造体(天井・側壁・床)にある温度の微風を送り 微風と構造体との熱交換で構造体の放射温度を制御したい これができれば放射パネルをつかうよりずっと簡単である
狙った位置に温風や冷風を最小限の熱ロスで届けることは結構難しい たとえば室温より暖かい微風はその浮力により狙った位置より上にぶれる また下手をすると送風の経路で周囲の空気と熱交換して消えてしまう 冷たい微風についても同様
そこで居室の温度分布に於いて 浮力の影響を最小に かつ送風経路での熱ロスを最小にするように微風の温度と方向と速度を刻々変化させたい
その制御方法を考案し実証する