ここは千葉の街中のシェアハウス 外観はすこし大きめの一軒家というかんじ 10 人くらいが共同生活をしている
ある日のこと久々にオーナーが新入居者を連れて現れた オーナーは別に自宅がありシェアハウスにはたまにしか顔を出さない 珍しいので先住者がひとりふたりと集まってきておのおのソファに陣取り・・ かべに向かって「ちょっとすずしい目でたのむ」とか「きょうはちょっと体調が悪いから暖かめ」とか頼んでいる わたしも「いまは快適」と伝える こう言っとくとAI がこの人はこの季節のこの温度だとこのくらいの冷暖房のレベルで良いんだと理解してくれる
オーナーは新入居者への説明に夢中で
「わたしのこだわりでここの冷暖房は入居者それぞれの好みを知って皆がここちよい設定にしてくれるんです 皆がここちよい冷暖房っていうんですけどね 必要ならかべに向かって頼んだら微調整してくれるし 帰宅してすぐなんかは体が火照ってるでしょ・・ そのときは涼を強くしておいてそのあと徐々に緩めてくれる それをひとりひとりに合わせて調整してくれるからいままでみたいに皆に合わせて誰かが遠慮して我慢する必要がないんです」
「ちなみにここの冷暖房はただのエアコンじゃなくて人体にとってより快適と言われている "放射冷暖房を加味して住環境を整えてくれる" 方式なんです・・
・・もうちょっと例をあげると ごはんのあとはちょっと涼しくしてくれるとか 体調がすぐれないときには暖かめ・・」
と自慢話がとまらない そんなにくどくどと説明しなくともRyo くん(各自勝手な名前を付けている)と話しているうちに分かってくるんだけど と思いながらも確かにこの部屋への集合率は高い 用事が無くとも皆自然に集まってくる 各自の部屋に居るよりも広くてここちよいからね・・
ここからは 入居者達から聞き出したAI 冷暖房の活躍ぶりと このミーティングルームを施工した工務店の技術者さんの奮闘と 苦労談(新技術をどうしても導入したいオーナーがどう無茶振ったか) をまとめたのでご参考に・・
しかしCoo くん(〃)助かるよ オレ新陳代謝が良すぎるのか汗っかきでちょっとした気温の変化で汗だくになったり それを放っておいて今度は冷えて風邪をひいたりするのだけど なんか勝手に調整してくれるから気にならなくなったんだ
ボクの連れ合いはずっと看護師をつづけていて 老人のサーカディアンリズムっていうの‥ 朝は代謝が低くて午後に向かって徐々に代謝が高くなるのだけど それに合わせて朝は少し暖かめの服を着せてくれたり すこし昼寝をするとまた体温が下がるのでなにか掛けてくれたりしていたなぁ 春や秋は思ったより気温が大きく変化するのでボケッとしてないで気をつけなさいよ!と口うるさかったな そういえばボクはエアコンがあまり好きじゃなくって家族みんなで居間に集まったときなんかも 最初は良いのだけどボクだけがどんどん寒くなってゆくのでたまらず他の部屋に避難したりしていた 歳を取って代謝調整力が弱くなったというよりはもともとのボクの体質なのだろうね・・ AI かもしれないけど みさえ(〃)がこまめに体感温度を調節してくれるので助かる みさえ・・もいちど会いたいね
締め切った部屋だと自然のメッセージが聞えなくって かといって開けはなすと暑かったり寒かったり 冬の日に自然のメッセージを聴きたくて窓を開けると 俊太郎さん(〃)が放射暖房をすこし強めにしてくれるのでここちよくって ゆっくりと耳を澄ますことができるよ まわりの皆も 寒いぜ!閉めろ とは言わなくなったなぁ
その他 ・冷房病にならなくなった ・低体温症の予防 ・体温調整機能の乱れ(自律神経失調 ストレス 疲労)の緩和 などの話が聴けた
オーナーが冷暖房にこだわり始めたのは ミーティングルームのような大きめの居室をN個のエリアに区切ってそれぞれ違った体感温度に調整する技術があると知ったから それは放射冷暖房という技術で エアコンだけではむずかしい調整が出来そうだと直感したそうだ 昔からシェアハウスを経営してきたオーナーは常にミーティングルームの管理に頭を痛めてきたらしい この部屋は暑い!寒い!だの あいつがいつも温度を上げすぎるから注意して欲しいだの いちどは診断書を盾に自律神経失調症はシェアハウスのせいだと難癖を付けられたこともあった それらの問題を新技術で解消しようということらしい しかしただの新技術オタクではないオーナーは単純に新技術を導入すれば全てよし!とは考えなかった オーナーのシェアハウスはUA値0.3程度の高断熱建築だが 高断熱建築にはそれはそれで悩みがある それは室温が乱高下しやすいこと 原因は 夕日の差し込みのせいだったり 居住者が多くて発熱が増えたり 高断熱であるがゆえに外気温や変化に敏感・・とさまざま そこでまずエアコンで室温を平均的な最適値に制御し そのあと居住者ごとの微調整を放射冷暖房で行うことにした 設備としては小さなエアコンを連続運転し ミーティングルームの天井や壁に1.6×1mの放射パネルを複数設置する 各パネルに個別に温度調整した水を流し 近傍の体感温度を調節する 実は人間の体感温度を決める式がある 体感温度=(室温+天井や壁の放射温度)÷2 夏の暑い日に冷房を最強にしても効かないのは 天井や壁が暖まっているからだ 式であらわすと (冷房26℃+天井・壁34℃)÷2=30℃ そりゃ暑いはずである 天井や壁が34℃なら 冷房18℃でようやく体感25℃だが エアコンのパワーが追いつかない だから強冷で回し 天井・壁が徐々に冷えるのを待つしかない 今回の改修では天井や壁の放射温度をアクティブに制御し 常に好ましい体感温度を得る こまめに調整するためヒートポンプでつくった温水と冷水を蓄熱タンクに貯めて使う 規模的に0.3m径1.5m高さのタンクが10本ほど必要で 階段下に置くことに 概略を決めて見積もりを頼んだところ 工務店の技術者は 「技術レベルが高く新技術も多いので 価値実証とプロトタイプ検証をした上で見積もりを出したい」との意向 実証費用も欲しいと言われた オーナーも無理を言っている自覚があったのでその条件で了承した 技術者からは 「最新技術に挑戦できるのは技術者冥利です 先取の気概に感銘を受けました!」 と褒められ オーナーもまんざらでもなかった ただし電気代が結構かかるとのことで ざっと3万円/月×12ヶ月×30年=1080万円! しかしここは技術者の得意分野で 住宅用ソーラー発電よりずっと簡単で安いソーラー発電方式を使えば電気代は80%削減できるとのこと 昼間のソーラー電気でヒートポンプを動かし 温水・冷水をタンクに貯めてほぼ自家消費できる 独立型なので系統連系の認可も不要 パワコンなども不要で設備費・保守費も安く 故障リスクも低い 直流入力型のヒートポンプでサイズが合うものを探しておきますね! と技術者もノリノリ なんにしてもやってみなけりゃ分からない!と二人で盛り上がったそうだ